中国環境情勢ブログ

環境一筋29年の中国環境コンサルタントとして、中国の環境規制最新動向・環境産業動向等をまとめてます

年末年始の中国環境規制の動き

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   中国環境・化学品・エネルギーレポート


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          2020年01月20日(月)号外
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発行部数;16542(月刊の中国語版は31291)


関係者各位
久々に中国環境ブログで文章追記しました。


年末年始にかけて、中国環境規制の動きがいくつもあ
りました。


1.固形廃棄物環境汚染防止法の改定


当初の計画では2018年12月改定の予定でしたが、2019
年12月の審議でも継続審議となり、2019年12月28日に
改めて改定草案2次審議版が公表され、約1ヵ月意見募
集することになりました。2020年3月頃採択との報道
もありますが、この通りになるかどうか。また危険廃
棄物分野の下位法令がいくつも改定作業中ですが、上
位法である廃棄物法の改定が決まらないと、下位法令
群も採択できないとのことで、まだ少し時間がかかる
ようです。排出許可証への廃棄物盛り込み、危険廃棄
物管理制度改変も少し延期になると思われます。
http://www.npc.gov.cn/flcaw/userIndex.html?lid=ff8080816f21a161016f3b211cfb6a9a


2.長江保護法


全人代立法計画に入っていた長江保護法の原案が、つ
いに明らかになりました。生態補償制度や河川長制
度、水生生物保護など興味深い条項のほか、日系企業
にとっては湖沼流域に放流する窒素・リン濃度規制、
劇毒危険化学品の水運禁止、リン化学工業企業の規制
強化、そして何よりも長江の主流・支流の沿岸1km内
で化学工業団地や化学工業事業を新設・拡張するのを
禁ずるとあります。長江1km禁則については、地方の
行政文書で規定されていましたが、今回法律でも規定
され処罰対象となりました(最大500万元の罰金)。
正式版公布にはまだ時間がかかると思いますが、今後
の動きに注目です。
http://www.npc.gov.cn/flcaw/userIndex.html?lid=ff8080816f21a161016f3b14712f69f2


3.汚染排出許可証制度がさらに整備


中国環境規制で最も重要な共通制度といえば、環境ア
セスと汚染排出許可証制度です。排出規制(濃度・総
量)、モニタリング、情報公開等も排出許可に付随す
る制度と言えます。この排出許可証制度は古くからあ
る制度ですが、2016年国務院方針に基づき全国制度に
統合し、産業別に段階的に手続きを義務付け、2020年
末には全国全産業で取得を義務付けています。これは
処罰対象にもなっており、中には日数連続罰金(改善
まで罰金額に日数を掛ける制度。「日割り罰金」との
誤訳も散見されますが、これだと罰金額が減額になっ
てしまいます)の範囲にしている地方もあります
(例:大連市)。


汚染排出許可証制度は2016年以降も徐々に変わってき
ています。そして、この年末年始に公布されたのが次
の2件です。


・固定汚染源汚染排出登記事業ガイドライン(試行)
http://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk06/202001/t20200107_757946.html
・固定汚染源排出許可分類管理リスト(2019年版)
http://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk02/202001/t20200103_757178.html
(参考)固定汚染源排出許可分類管理リスト(2017年版)
http://www.mee.gov.cn/gkml/hbb/bl/201708/t20170803_419132.htm


要点としては、今までの重点管理、簡易管理に加えて
登記管理というカテゴリーを設けたこと、2019年版分
類管理リストで対象業種がきめ細かく記載されたこと
です。2017年版分類管理リストで2019年以前に取得義
務がある対象産業なのに取得していない企業は、生産
停止になる可能性があります。江蘇省だけは1年前倒
し、2017年版リストの対象産業は全て2019年12月末ま
でに手続きが求められ、2019年版リストで追加された
新たな対象産業は2020年3月末までに手続きが求めら
れ、手続きなしで汚染排出していれば法令違反となり
ますので、要注意です(個別環境法規解説サービスや
週刊中国環境規制レポートの購読者には早くからお伝
えしています)。


・江蘇省生態環境庁:2019年汚染排出許可証手続きに関する補足通告
http://hbt.jiangsu.gov.cn/art/2019/9/19/art_1571_8715557.html


4.エネルギー消費量総量規制


エネルギー消費量総量規制については、古くから重点
エネ企業に限定して行われており、現在の第13次五ヵ
年計画では重点エネ企業「百千万」(百社、千社、
1万社)のみエネルギー消費量総量規制+原単位規制
が行われています。また単位製品あたりエネルギー消
費規制もあります。この枠組みは今後も当面続く見込
みで変化はないと思われます。


一方、類似制度としてCO2排出枠規制・取引制度、省
エネ量取引制度、エネ利用権取引制度、炭素税制度等
があります。CO2規制取引制度については、全国市場
制度が徐々に作られ、第1陣の発電産業に加えて、第2
陣として化学・鉄鋼などが加わる見込みです。また地
方実証事業も続いている点は要注意です。他の3制度
はまだ実証事業、研究段階にあり、導入されるのはま
だ先になりそうです。


来週開催予定のJCESCセミナーでは、上記の内容も含
まれます。是非ご参加ください。


・第27回JCESC中国環境セミナー(1月28日)
テーマ:製造業向け中国環境規制対応
2019-2020年の法令・政策動向
http://www.jcesc.com/seminar27.html


・第28回JCESC中国環境セミナー(1月29日)
テーマ:製造業向け中国環境規制対応
日系工場の環境取締り・行政処罰等の動向と対処法
http://www.jcesc.com/seminar28.html


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■関連情報配信サイト
□日中環境ブログ
http://jcesc-ceo.cocolog-nifty.com/
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